初めてあいつから話を聞いた時、おかしいと思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「で、本当に俺の家にくるとはな・・・」

 最早怒りを通り越して呆れているアスラン。そのアスランを、傍らのキラは放って始めてくるアスランの部屋に見入っていた。

 キラの瞳はとても輝いているようにも見え、その様をアスランそっちのけで楽しそうに見ているラスティ。

 「おい聴けラスティ。お前の為にキラとの初詣を諦めたんだぞ?」

 不機嫌を顕にラスティを睨みつけるアスランに、ラスティは悪びれた風もなく悪いアスラン、と片手を挙げた。

 「・・・ところでキラ、そんなに見られると、ちょっと、恥ずかしいんだけど?」

 不意に話を振られたキラは、驚いてアスランの方に視線を戻した。

 「あ、ごめん。始めてくるから、つい・・・」

 シュンと肩を落とすキラは無意識だろうか上目遣いにアスランを見やる。

 対するアスランは勿論、キラのあまりの可愛さに顔を赤くしていた。

 「ま、まあ、いいけど・・・・・でもなんでキラまで来るんだ?退屈だろう、こんな奴の話なんて?」

 心配げに言葉を紡ぐアスランに、声を荒げたのはラスティだった。

 「ちょっと待てよアスラン、そりゃないだろ・・・」

 そんなラスティをサラリと無視して、アスランをキラの顔を覗き込んだ。

 「そんなことないよ。僕はアスランの部屋に入れただけで、満足だし・・・・・」

 恥ずかしいのか、キラは俯きながら声を尻窄ませた。

 そんなキラに帰れといえるはずもなく、否寧ろいて欲しいのだが、如何せん今はラスティがいる。

キラに害を及ぼすか、アスランはそれが心配でたまらないのだ。

 「で、ラスティ。一体彼女と何があったんだ?・・・それよりお前の彼女って、本当にラクスか?」

 何故か根本的なことから問うてくるアスランに、キラどころかラスティまで目を丸くした。

 「当たり前だろ?ラクスの他に誰がいるってんだよ?」

 怪訝そうにアスランを見やるラスティ。アスランはその視線に頬を引き攣らせるが、敢えて無視して話を続けた。

 「前々から思っていたことだが、ラクスには既に婚約者がいるぞ?勿論お前ではないが」

 瞬間、固まるラスティ。

 ラスティに代わって、キラが口を開いた。

 「え、そうなの?この前は言ってなかったのに・・・」

 この前とは、クリスマスの時。

 アスランと一緒にショッピングしていたラクスと、キラは見ていなかったがミーアという少女。

 二人はアスランの従姉弟だという。そして今聞いた話によると、ラクスは既に婚約者がいるのだそうだ。

その話を聞いていなくて、キラは少しムッとした。

 「ああ、ごめん。あの時は、キラの誤解を解くのに必死で・・・俺、ラクスたち苦手だから、あんまり関わりたくなくて・・・・・」

 ラスティを半ば邪険に扱うのは、それ故だろうか、とキラは考え、そうなんだ・・・と軽く相槌を打った。

 「ちょっと、待って・・・本気で聞いてないぞ、おい?」

 未だ呆然とするラスティに、知るかと内心で答えるアスラン。

 しかし直ぐに思い直し、頭に思い浮かんだ考えを声に出した。

 「案外、ラクスとミーアが入れ替わっていたりしてな・・・」

 そう、ラクスとミーアは似ているのだ。それも、容姿だけではない、声音まで同じなのだ。唯一違うのは、彼女たちの性格だけ。

 令嬢の鏡ともいえるくらいお淑やかで、内面は何を考えているかよくわからないラクスと、明るく誰とでも仲良くできるような性格のミーア。

 はっきり言って、二人は正反対だ。

 言っておくが、二人は双子などではない。

 母親同士が双子なのだ。

 「・・・・・ミーアって誰だ?」

 怪訝そうに顰められる眉根。おや、とアスランはほんの少し目を丸くする。もしや。

 「俺とラクスの従姉弟だよ。聞いてないか?ラクスにそっくりな子だけど・・・」

 「聞いてねえよ。一言も。え、待って、嘘だろ、そんな・・・」

 混乱してきているであろうラスティを尻目に、アスランは思考をめぐらせる。

 「そういえば、なんでお前ら付き合うようになったんだ?」

 思い返してみると、ラスティが自分に彼女が出来た、その彼女がラクスという名前で、アスランの従姉弟だって言うんだ。

と言ったきり、彼女のことについては聞いていなかった。

 なので取り敢えず、原点に戻ってみることにする。

 「あれ、言ってなかったっけ?俺とラクスが出会ったのは、あのミニコンサートの時だ」

 「ミニコンサート?」

 何故か、アスランとキラがはもる。キラは兎も角、アスランが聞き返すとは思っていなかったのか、ラスティは意外そうに目を丸くしながら頷いた。

 「あ、ああ。去年の八月に駅前の遊園地前でやったミニコンサートだよ。知らないのか、アスラン?」

 「いや、知ってるけど・・・。あのコンサートの時は確か、ミーアがやってたと思うぞ」

 さらりと爆弾発言をかましたアスラン。一応この言葉は身内と事務所のみの秘密事項なのだが、ラスティとキラならば大丈夫と思って言ったのだ。

否そもそも、ラスティは知っていると思って言っただけなのだが。

 「え、なんで!?」

 思わず聞き返してくるラスティに、アスランは簡潔に答える。

 「あの時、ラクスは彼女の婚約者のイザークと一緒に旅行に行ってたんだ。ミーアが丁度暇だったから、彼女にコンサートを任せて。

ミーアはラクスと仲いいから、それを引き受けたらしいんだけど・・・」

 「じゃあ、俺が告ったのって、ラクスじゃなくってそのミーアって子ってわけなのか!?」

 今知らされた事実。ラスティがラクスであろう人物に告白してOKをもらったのが八月の頭ぐらいなので、約五ヶ月間、

ラスティはミーアがラクスではないと気付かないまま付き合っていたということになるのだ。

 「そういうことになるな」

 頭を抱えるラスティ。アスランは呆れたように溜め息を吐いた。

 ふと隣のキラに目をやれば、またも懲りずにアスランの部屋を眺め回していた。アスランの頬が、再び朱に染まった。

 「ど、どどどどうしようアスラン・・・」

 そう言われても、どうしようもないものはどうしようもない。

 「そんなことくらい、自分で考えろ。でも、ミーアはなんでラクスと偽って・・・?」

 それこそ疑問だ。

 確かにミーアはラクスに憧れを抱いていた。だがしかし、わざわざラクスと偽ってまで、こんな男と付き合う必要があったのだろうかと怪訝に思う。

 「ミーアに直接聞いてみるか?」

 ふと零れた言葉に、ラスティは過剰反応した。

 「い、いや待てアスラン。早まるな。いや、話すべきなんだろうけど、でもやっぱりまだ早い」

 そんなラスティに何言ってるんだと冷たい眼を向けるアスラン。

 「ほら、携帯貸せ」

 そう言って手を出してくるアスランになんでとラスティは不思議そうに問うてくる。

 「なんでお前の問題に、俺の携帯料金を使わなきゃならないんだ?」

 ああなるほど、と納得するラスティ。彼の混乱した頭では、異論を唱えることを思いつかなかったらしい。

 素直に渡された携帯の電話帳を開き、ラクスの名前を探す。

 案の定、その番号やメールアドレスは、ミーアのものだった。

 「構わず通話ボタンを押し、アスランは携帯を耳に当てた。

 しばらくのコール音の後、言葉を紡ごうとしたが、それは間髪入れずに聞こえてきた機会音声に遮られた。

 『留守番電話サービスセンターに接続します。こちらは・・・・・』

 もしや、これは故意かもしれないとアスランは思った。

 アスランは仕方ないとばかりに溜め息を吐き、自分の携帯を取り出し、同じ電話番号に掛け直した。

ラスティの携帯は、コール音を聞きながらもとの持ち主に投げ返した。

 『アスラン!?どうしたの、あたしに電話くれるなんて?』

 出るのが早い。やはり先程のは故意だったようだ。

 「ああ、ちょっと用事があってね。それよりミーア。ラスティ・マッケンジーって馬鹿な男、知ってるか?」

 後ろで心外だとばかりに騒ぐラスティを無視し、アスランは返答を待った。

 『え、や、やあねえ?知らないわよ、そんな人?』

 如何にも白々しいその返答に、アスランは苦笑を浮かべた。

 「嘘だろ?今ラスティに話し聞いたけど、お前、ラスティに嘘吐いて付き合ってただろ?」

 受話器から伝わる驚いたような気配に、アスランは苦笑を深めた。

 「一度会って、話でもしたらどうだ?」

 『・・・・・でも・・・』

 逡巡するミーアに、アスランは言葉を続けた。

 「俺も行くし。何ならラクスも連れてくけど?」

 『そ、それはやめて!!ラクスはこのこと、知らないから・・・』

 そう言うミーアに、アスランはなんだ、ラクスは知らなかったのか、と感心した。

 「だったら俺とラスティで行くよ。・・・?」

 不意に袖を引っ張られる感覚。

 振り返るとそこには、上目遣いのキラの可愛らしい顔。

 アスランは顔を赤くしながら、不思議そうに首を傾げた。

 しかし直ぐに彼女の心情に気付いて、笑顔を浮かべた。

 「それと、俺の彼女も連れてくから。世に言うダブルデートだな」

 面白そうにいうアスランに、ミーアはアスラン、彼女が出来たの?と問い返してきた。

 「ああ。最近だけど、すごく可愛い子だよ」

 彼女の頬が朱に染まっていく様を微笑ましく見つめるアスラン。

 『わかったわ。もしかして、昔言ってた子?』

 少し声を潜めたミーアに、アスランは笑みを深めて。

 「ああ、そうだよ」

 そう、答えた。

 ミーアの声はきっと、キラには聞こえていない。だってまだ、顔を朱に染めたままだから。

 「ミーア、今暇か?」

 『え、今から!?あたしおばあちゃんの家にいるんだけど・・・』

 「だってお前、明日からしばらくラクスのコンサートに付き合うんだろ?だったら、今日しかないじゃないか?」

 そうなのだ。明日から始まるラクスのコンサートツアーに、ミーアは着いて行くと言っていた。その為、暇なのは今日ぐらいしかないのだ。

 『じゃあアスランたちが来てよ?あたしいやよ?面倒だし』

 如何にも嫌そうに言ってくるので、アスランは苦笑を浮かべてわかったよと返した。

 「じゃあ着いたら連絡するよ」

 『OK。待ってるわねアスラン』

 そんなミーアの言葉に、俺を待ってどうするんだよ・・・と呆れながら、また後でといって電話を切った。

 「じゃあ行こうかキラ。ラスティも」

 キラは直ぐにうんと頷いたが、大人しく電話が終わるのを待っていたラスティはなんともいえない表情をしていた。恐らく、複雑なのだろう。

 無理もない。今まで騙されていたわけだから。まあ、気付かなかったラスティも悪いのだが。

 「今から行って、大丈夫なの?」

 「ああ、祖母の家はシャトルに乗って一時間くらいだから、直ぐに着くよ」

 ミーアの祖母は、アスランとラクスの祖母でもある。

 アスランの母レノアと、ラクスの母親、そしてその双子の妹のミーアの母親は姉妹なのだ。

 因みに、レノアと二人はあまり似ていない。レノアだけ、父親似であったのだ

 そんなこんなでアスランたちは、彼の祖母の家に向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

長らくお待たせいたしました。

お正月なんてもう、終わってしまいましたね。ホント、鈍間ですみません。

何故だかラスミアです。最初ラスラクにしようと思ったのですが、私の中でイザラクが強かった為、こんなことになりました。

全てはTのラスティの言葉から始まりました(ぇ)。

「『他の女性をナンパするということは、もう私には用はないと言う事ですわよね?なら、この関係はなかったことにしましょう』って言って、

さっさと飛行機乗って母国に帰っちまったんだよ!!!」と、「だって俺、ラクスの家知らないし、シャトルの乗り方よくわかんねぇし」

という言葉です。一言じゃなくて、二言でしたすみません。

ていうかぶっちゃけ、Tでラクスがアスランの従姉弟だと言うことをすっかり忘れてました。だからおかしくなったんですよー(おいおい)。

あ、ラクスはコンサートを中心に活動しているので、さして音楽に興味ないキラはラクスが歌手だって知りませんでした。

その為、シャトルに乗っている最中、彼に説明してもらいました(省きすぎ)。







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Photo by CAPSULE BABY PHOTO